近頃は経済活動が活発になってきた印象のあるミャンマーですが、開発が進むのは都市部に限られ地方部や少数民族州には恩恵が届いていないと、常々感じてきました。また、日本に来るミャンマー人が口をそろえて「ミャンマーにいま一番不足しているのは教育」と話しているのを聞いており、リンクトゥミャンマーとして教育分野で支援ができないかと考えてきました。
そんな中で「ミャンマーで自分が卒業した寺院学校の生徒が増えて校舎を建築中だが、建築費が足りずに困っている」というミャンマー人に出会い、同プロジェクトの実施へと動く決意をいたしました。
ミャンマーには、日本の「寺小屋」のようにお寺が運営する学校が1500校以上あるといわれています。寺院学校のカリキュラムは公立学校と同じです。しかし学費、教材費、文具費、制服費、寮費、食費(3食分)、光熱費などの費用がすべて無償なので、貧しい家庭の子どもたちの教育の受け皿となっています(公立学校は学費は無料ですが、教材費や制服費、給食費などが必要です)。
ミャンマーの経済成長率(GNP成長率)は6.3%(JETRO)と、大都市ヤンゴンでは経済開発が進んでいます。しかし周辺の民族州や農村部ではまだまだ経済が立ち遅れており、公立学校へ通わすことができない家庭が多くあります。それにもかかわらずミャンマーの識字率は92.7%(2011年世界銀行)と、周辺国と比べて突出しているのは、こうした寺院学校の存在が欠かせません。
寺院学校の運営費用や教師の給料などはすべて、ミャンマーの仏教徒や地域住民の寄付によって賄われています。
タンドゥエのパレ・ヤーダナー寺院学校も今までは同じように寄付により運営してきました。しかし、学校で暮らして学びたいという生徒の数が年々増え、現在は校舎すら足りない状況に直面しています。
現地視察調査では、クラス数が足りずに2クラス分の児童が1クラスで学習している姿、放課後に居場所がなくて敷地の屋外で一生懸命に勉強する子どもたちの姿がありました。まずは安心して学習できる「場所」を作り、すべてがそこからスタートするという考えで一致しました。
まずは校舎2階部分の1フロア分を建設したいと考えています。しかし私たちは、校舎を渡すだけで終わる事業にするつもりはございません。これを一歩として、ミャンマーの教育環境をハード面・ソフト面両方で支援し、貧しい家庭の子どもたちが将来へ夢をもてるように活動を続けてまいります。