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日本で住むことの難しさ~定住支援の現場より~

 

賃貸退去費用24万円?!

『アパート退去後に室内修復工事費合計25万円、敷金をひいた18万円を請求されている』

 

インターン開始1日目。目を疑うような相談内容が転がり込んできました。

 

すぐに法律に関する相談機関へ相談し、東京司法書司会の無料相談を予約し、相談に同行することとなりました。

 

 

東京司法書士会無料相談へ

待ち合わせ時間30分前から駅で待っていてくださったMさんは、私の姿を見ると、ほっとしたような笑顔を見せてくれました。日本語が読めないというMさんは自分の居場所を伝えることも困難です。

 

少し足をひきずって歩くMさんと共に、易しいしで会話をしながら東京司法書士会事務所へ向かいます。日本とミャンマーの気候や文化の違い、日本での仕事な、様々なことを笑顔で明るく語ってくれました。

 

Mさんは来日して約20年になりますが、家族の生活のために、夜も休日も休むことなく、3つのアルバイトをして家族を養ってきたといいます。

 

笑顔の裏には、計り知れない苦労が隠されているのでした。

 

 

多額の請求は在日外国人だから?

無料相談にて、契約書類や借款、国語交通省ガイドラインに則っていないのではないか、という疑いをご教示いただきました。

 

日本に住むことの困難さを拙い日本語で語り、司法書士の言葉を懸命に理解しようとするMさんの姿に、胸が締め付けられる思いでした。

 

 

外国人として日本に住むことの難しさ

「外国人であること」

たったそれだけの理由で、自分の生活を営むことがどんなに難しいことでしょうか。

 

私も来日して14年経ちますが、住居の面でもたくさん苦労してきました。

 

不動産管理会社で外国人だと分かると、「日本語は大丈夫ですか?」「保証人の日本語は大丈夫ですか?」「ご両親はどちらにお住いですか?」「お父さんは日本人ですか?」など、聞かれたくない質問を投げかけられます。

 

外国人の入居を断る大家さんも少なくありません。

 

様々な苦難がありましたが、日本の公立学校で教育を受ける機会に恵まれた私は、様々な人の手を借りて、自分でアパートを契約し、自分が安心してくつろげる場所を作ることができます。

 

 

しかし、言語も文化もわからず、閉ざされたコミュニティで誰にも相談できない在日外国人は、まだまだ多いのです。

 

農村の花嫁として来日し、一人で遠出をすることもできず、母語で話せる人も愚痴を聞いてくれる人もいないアジア人女性。

 

母国の価値観や生活様式を守ろうとして、近所から浮いてしまう移民1世。

 

日本語が話せても、だれにも進路や家庭の悩みを相談できない外国ルーツの子どもたち。

 

彼らを含めた全ての人々が、居心地の良い環境で生活し、いざとなったら誰かに相談し、困りごとを解決できるような、暖かい社会を作っていかなくてはならない、と強く感じています。

 

今日の日本社会に住む私たちは、常に多文化と隣り合わせです。近所に住む多文化を持つ人々を「困りごと」としてではなく、同じ「ひとりの人間」として、同じ生活を営む「仲間」として、受け入れていきませんか。

 

 

インターン 寇 語倩(こう ゆうちぇん)

 

2022年7月5日 定住支援の現場にて
2022年7月5日 定住支援の現場にて