先日7月1日、以前から当会が支援を提供している、在日ミャンマー人の方々に新型コロナ禍の生活状況についてヒアリングを行いました。
今回ヒアリングを行ったのは6人のミャンマー人の方々で、7人で1つの家をシェアして生活しています。
彼らは、ミャンマー西部のラカイン州の出身で、長年続いている国軍と民族武装勢力との紛争で故郷を追われた難民の方です。
彼らは皆「難民申請者」であり、「難民認定者」ではありません。7人のうち6人は「資格外活動許可」というものを取得し、ほぼ毎日アルバイトをして日々生計を立てています。しかし、1人だけ入国管理局から「資格外活動許可」が認められず、働くことが許されていません。彼は同居している方々に支えられながら生活しているのです。皆さん、ほとんど休みなく働いているので、娯楽に費やせるとお金の余裕はありません。
そして、実際に新型コロナの影響で生活がどう変わったか質問してみました。
事務局員:「新型コロナの影響で生活は変化しましたか?そうだとしたら、どのように変化しましたか?」
ミャンマー人の方々:「コロナウイルスの影響で、掛け持ちしていたバイトのうち一つはなくなったけど、もう一つの職場では働けています。ここに住んでいる人ほとんどがそういう状況です。生活ができないわけではないが、ミャンマーに住む家族に仕送りするお金や貯金に回せるお金はないですね。ミャンマーもコロナの影響で、稼ぐのは厳しい状況だから、なるべく多く働きたいです。みんな仕事する気は満々だけど、この時期はどこも雇ってくれません。はやくコロナが終わってほしいけど、終わる見込みがないし、今働いているバイト先でシフトを減らされてるから、不安ですね」
しかし、それに加えて…
ミャンマー人の方々:「だけどミャンマーに残って生活するよりは全然いいです。故郷を戦争で追われて、他の地域に避難しても仕事がないから生きていけない可能性が高いです。だけど日本は、戦争がない安全な国だし、ミャンマーに比べると仕事はいっぱいある。だけど、今は仕事が少ないから不安です…」
彼らの中には、ミャンマーに奥さんや子供、両親を残して、日本に渡ってきた方もいます。母国にいる家族の生活を支えるために送るお金を稼ぐことができません。しかも、今後の新型コロナがいつ収束するかわからないため、今働いている職場もどうなるのかもわからない状況で、彼らは大きな不安を抱えています。
アルバイトがない貴重な時間を割いて、事務局メンバーの押田と相談員のトン・アウン・キンのために豪華なラカイン料理まで用意して、温かく迎えてくれました。
今回のヒアリングにご協力していただいた彼らに深い感謝を申し上げます。
当会はこうした方々を対象にアルバイト紹介や面接同行支援、ビザ申請支援などを提供し、彼らの生活をサポートしております。そして、現在実施しているクラウドファンディングで集めた支援金は、彼らの様に新型コロナの影響で生活に不安を抱えている在日ミャンマー人の支援役立てられます。彼らへの支援を継続するためにも、皆様からの更なるご支援が不可欠です。どうか当会のクラウドファンディングページから支援にご協力下さい。
クラウドファンページ⇒https://camp-fire.jp/projects/view/267781
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~執筆者(押田)の感想~
今回初めて、当会の支援対象者である在日ミャンマー人とお会いして、新型コロナ禍の生活状況についてお話を伺ったのですが、一番驚いたことは彼らの「温かい親切心」です。
皆さん難民として日本に渡り、ほぼ毎日休まずアルバイトとして働いて、遊びに出かける時間とお金は限られています。毎日働いて稼いだお金は遠い祖国に住む愛する家族のために送り、家族を遠くから支えています。日本に渡ってきた後に子供が誕生して、まだ一度も直接子どもに会えていないという方もいました。こうした境遇にいるにも関わらず、私たちを自宅に招き、豪華な料理をご馳走し、自分の生活について赤裸々に語ってくれる彼らには頭が上がりません。
そして、日本が難民認定数が先進国のなかでも少ないことで有名ですが、難民という立場に置かれている彼らも日本政府に対して憤りをあらわにする場面もありました。「なぜ、戦火から逃れてきた人々を積極的に受けいれないのか理解できない。政府の人々は外国人の人権なんてどうでもいいと考えている」と語っていました。
彼らの話を聴いてみると、私も彼らの意見に同意せざるをえませんでしたし、難民の方々への対応について考えさせられました。今後も、彼らに寄り添いながら、NPOで働く自分がどう行動することで彼らの生活を守ることができるのか考えていく所存です。